ロジャー&ミー
型破りな才覚を持ち、労働者階級を自認するマイケル・ムーア監督自身のナレーションによって語られる『ロジャー&ミー』は、自由奔放で痛烈な皮肉を込めたドキュメンタリー作品である。生まれ故郷の町がアメリカの巨大企業ゼネラル・モータースによる工場閉鎖で大打撃を受けると、この人騒がせで政治には一家言を持つ監督は、軽やかな笑いを織り込みながらロジャー B.スミス会長にカメラを向けようと奔走する。タイトルにもなったスミス会長は拒み続けるが、ムーア監督は自らカメラを手にしてインタビューを敢行しようと巨大企業を追い回し、その冒険の様子を自由奔放な視点でフィルムに収めていく。
まるでブルーカラーのヘラルド・リベラ(たとえインタビューを拒絶されても、そこで引き出された滑稽さを貴重な成果とするインタビュワーであり、ゲリラ的な行動をとる記者)のように、ムーア監督は標的にした企業の獲物を待ち伏せするが、その間に出会った多様な人物像の描写には共感を覚える。有名どころのキャストなどとはまったく無縁の作品であり(歌手のアニタ・ブライアントが激励のためにやる気満々で出演し、地元の著名人ボブ・ユーバンクスが無粋なジョークを発してはいるが)、公民権を剥奪された貧しい人々(ウサギの肉を売って生計を立てる女性が印象に残る)が粗野な人物か、あるいは田舎者として何度も登場する。しかし、真実を一見投げやりな態度で収めた自由な作風の裏には、1980年代に謳歌した好況の真っただ中にあって合理化の犠牲となった人々へのやり切れない思いが隠されている。レーガン政権時代の米国とアメリカンドリームの崩壊を描いた結果、最後には1つの単純な質問に行き着く。企業社会としての現代のアメリカが、国民に対して負っている責任とは果たして何であろうか? それこそが、まさにGMの誰一人として答えたがらない質問であろう。(Sean Axmaker, Amazon.com)
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