ザ・マイルス・デイビス・ストーリー
トランペット奏者のマイルス・デイビス(1926‐1991)は、ポスト・バップ、クール・ジャズ、ハード・バップ、ジャズ・フュージョンの革新に多大な影響を与えた人物だ。彼のトランペットが紡ぎ出す感情のこもった細い音色は、ほかでは聴けないほど刺激的。彼はまた、20世紀における最も有名で、かつ誤解されがちな音楽家のひとりと言える。この音楽家には、いろいろな面がある。それをイギリス製作のこのドキュメンタリーは、よく表している。チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーといったバップ界の巨匠と過ごした若かりしころのデイヴィス。当時の様子や彼が中流階級の生まれであったことなどが、貴重なインタビューで明らかになる。麻薬に溺れた時代から立ち直り、50年代~60年代におけるジャズの象徴となるまでを、じっくりと追う。デイヴィスにかかわる人たちの証言から、マイルス・デイヴィスというひとりの人間の素顔を垣間見ることができる。彼と一緒に活動をしたり、彼の音楽に影響を受けたシャーリー・ホーン、ハービー・ハンコック、ジョー・ザヴィヌル、キース・ジャレットなどがインタビューでデイヴィスを語る。
もちろん、素晴らしい楽曲も収録されている。名曲「ソー・ホワット」や「ブルー・イン・グリーン」、映画『死刑台のエレベーター』(1957年フランス作品)のサウンドトラック、そしてシンディ・ローパーが歌ったロマンティックな「タイム・アフター・タイム」。アレンジャーのギル・エヴァンスと共同で制作した楽曲も聞き逃せない。このドキュメンタリーから見えてくるデイヴィスの素顔。それは以外にもシャイで傷つきやすく謙虚な一面だ。「伝説ではなく、マイルス・デイヴィスと呼んでくれ」とは彼の言葉である。(Eugene Holley Jr., Amazon.com)
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