モーツァルト:歌劇《コシ・ファン・トゥッテ》

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演出には納得

ドリス・デーリエによる演出は、小道具と歌手の動きが多すぎるとはいえ、現代版《コシ・ファン・トゥッテ》は、かくあるべしと納得させられる。

ドロテア・レシュマンの歌唱はそれに十分に応えている。彼女の声は中音域から高音域まで安定し、声の美しさ、技巧・表現・声量ともに卓越している。《Per pieta》(第25番 フィオルディリージ)では、渾身の熱唱を聴かせる。

2002年
ベルリン国立歌劇場におけるライヴ収録。

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コミカルで可愛らしい、笑える「コシ」です

 「愛され作戦」でD・デーリエ監督のファンになったのですが、このオペラの中でも、この女性監督は、女性の可愛らしさをうまく表現しています。「コシ」はずいぶんと女性をバカにした筋ですが、こうやって見せられると、実は生き生きと女性を愛らしく描いているオペラなんだなあ、と思わされます。本人は真面目でも、はたから見ると非常にこっけいでそれでいて可愛らしい、そんな風にヒロイン姉妹を描いています。DVDなので、舞台と違って表情が良く見えるからいっそうそれがわかります。
 演出は斬新で、グリエルモがブリーフ一枚になるシーンがあったり(見るに耐える身体の歌手で良かった)、性的な暗示のしぐさもたくさんあります。

 女性二人は少々太めですが、レッシュマンは非常にいい声をしています。
 コシなんか退屈、という人にもお奨め。

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スタイリッシュな現代風演出

オペラは「愛」が主題なので、最近の歌手はなかなか大変だ。セックス・アピールが重視されて、下着や裸を見せることも増えた。ヨーロッパでは一糸纏わぬヴィーナスもあるそうだが、観客に高齢者の多い日本では、演出家は許容範囲をまだ探索中だ。コンテンポラリーダンスやバレーと違い、声楽家の身体は裸に向いているとは限らないので、悪趣味にならない一歩手前というのがなかなか難しい。その点で、この公演は成功している。フィオルディリージとドラベッラのミニスカート姿は似合うとは言えないが、グリエルモとアルフォンゾに長身でセクシーな男性歌手を配したのが旨い。舞台回しのキーパーソンで老哲学者のはずのアルフォンゾがセクシーな美青年なので、全体がわくわくするような輝きをもつ。『コシ』は『フィガロ』や『ジョバンニ』と違い、筋が単調で退屈しがちだが、60年代末のヒッピーたちのマリファナパーティという設定や、チェ・ゲバラのTシャツ、あるいは現代のジャンボ機が飛ぶ空港など、タイムスリップの感覚が絶妙だ。ミンコフスキ指揮の『後宮』はパレスチナ問題が提示されたように、モーツァルト・オペラの現代風演出は様々な可能性をもつ。60年代感覚のスタイリッシュな『コシ』もまた、何ともいえない味がある。

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超現代的演出による、通好みの『コシ』

いわゆるモーツァルトの四大オペラの中では、『フィガロ』『ドン・ジョバンニ』『魔笛』に比べると、国内盤DVDの数で大きく差をつけられている感のある『コシ』に久々の国内盤新譜DVDが登場しました。ところがこの上演、非常に個性的な演出による上演で、話の舞台は完全に現代(というか一昔ほど前の都会人生活の雰囲気)に移し変えられてしまっています。まあ、このような試みはモーツァルトのオペラ、特に『コシ』にはよくあるパターンなので、決してそれが悪いとは言いませんが、やはり二人の士官の軍隊入りが、エリートサラリーマンの長期出張に置き換えられてしまうとなると、いささか事の重大性が違いすぎて、せっかくのモーツァルトの音楽の残酷なほどの美しさが味わいにくくなってしまう、といううらみはあります。そのことを抜きにすれば、登場人物たちの歌唱や演技力、そしてモーツァルトを得意とするバレンボイムの指揮はなかなか立派なものです。ですから、すでにこのオペラの内容をよく知っているモーツァルトファンの方々にとっては、ひとつの新鮮な試みとして充分に受け入れられる内容だと言えるでしょう。初心者の方に対しては、もっとオーソドックスな上演、例えばアーノンクール/ウィーンフィル盤などと観比べることによって、オペラの現代的演出というものを考えるきっかけにしていただくことをお奨めします。

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見逃せない!レッシュッマンのフィオルディリージ

 ベルリン国立劇場で、若手中心の配役。指揮はバレンボイム、映画監督でも名高いドリス・ドーリエが演出と、見所満載で、しかも期待を裏切らない舞台に感動!なんと言ってもドロテア・レッシュッマンの歌と演技がきらりと光る。安定した高音と、よくとおるその声質に、画面に惹きつけられることしばしば。他のキャストも、もちろんいい。

 演出は70年代風と、実に斬新かつポップ、しかしどこか懐かしく温かなイメージの舞台に仕上がっている。男性は最初はスーツ姿、後にヒッピー姿で登場する。ドン・アルフォンゾは老人ではなく青年の設定だし、女性はミニスカートをはいている。ドーリエの演出は、突然降ってわいた恋煩いにとまどう女性の姿を、とても率直に現実味を帯びて表現することに成功していて、男性が見ても女性が見ても、妙に納得してしまう映画のようなストーリー作りとなっているのが印象的だ。
 ヴェルディみたいに劇的でないと、ちょっと退屈してしまうという人にも、自信を持ってお勧めできる舞台だ。

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