R.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」
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至高・至純の名演
私の最愛のオペラ、最愛の演奏である。若い頃は(カラヤンのデジタル録音で)ロマンティックなワルツに酔った。しかし、今私が強く心打たれるのは、時のはかなさ、残酷さ、そして、おそらくは私の方がすでに年上であろうマルシャリンの健気な決意である。若い二人の恋の物語として観るのもよかろう。しかし、このオペラの真の主題は移ろいゆく「時」なのだと、今私にははっきりと感じられる。
クライバーの融通無碍な音楽作りがすばらしい。そして主役の女性歌手たちが美人揃いである(この夢のオペラには必須)。とりわけフェリシティ・ロットの凛として気品を湛えたマルシャリンは絶品。野卑だがどこか抜けているオックス男爵、クルト・モルも適役と思う。脇役陣もすべて文句なし。これ以上何を望むことなどあろうか。
ウィーンの香り!
クライバーのビデオはいずれもとっても素晴らしいできだが、
こちらの方がウィーンの落ち着いた舞台・演出で、より説得力がある。
歌手もオッターの上品で理知的な歌唱がいい。
背の高い歌手なので、女中に変装すると少し違和感があるが、
凛々しい顔立ちが、10代の貴族青年を連想させる。(アップにされるときついが。)
ボニーもとても理性的な声と歌い回しで好感が持てる。
演技的に無垢な少女をうまく表現できていて、
オッターの落ち着いた風貌ともあい、いいできだと思う。
ロットも気品があり、とても好感がもてる。
これぞオペラ!陶酔してください
今から10年以上前、NHK−BSで放送していたのを録画し、10回以上も夢中になって見たことを思い出す。
オッターのオクタヴィアンは、見た目も美しく、歌唱にリズム感、メリハリがあり素晴らしい(おそらくクライバーの指示によるものなのであろう)。
ロットのマルシャリンは美人かつ高貴。声も演技もまさに元帥夫人というにふさわしい。
モルのオックスもいつもどおり最高。
しかし私がなんといっても大好きなのはボニーのゾフィー。声が美しく、まさに天使。薔薇の献呈の場面でボニーが「この世ではなく天国に咲く花のよう」と歌うとき、まさにそこに天国が表出したかのような錯覚を覚えたのは私だけではないはずだ。
また、細かいことだが、第1幕の幕切れの場面、最後にヴァイオリンのソロが息の長い感動的なフレーズを弾く場面があるが、ここの最後の伸ばすところを、クライバーは音を切らずに弾かせている。これが最高。他のCDでは、ここで音が切れているものもあり、どうしても納得できない。
第1幕の前奏曲(?)においても、クライバーの弾むようなリズムに一気に引き込まれる。カラヤンのふにゃふにゃした演奏とは大違いである。
とにかくクライバー一世一代の最高の演奏。陶酔のひとときが得られます。
カラヤン盤と双璧をなす名盤!
クライバー盤は、どうせ見るなら、旧盤よりはこの新盤のほうが、映像も歌手陣も洗練されています。鮮烈で、勢いもあり、陶酔できること間違いなし! 上質なシャンパンのようです。そのあとに旧盤でも、遅くはありません。
また、カラヤンによる、1960年のザルツブルク音楽祭における名盤もあります。これは、シュヴァルツコップが元帥夫人を演じる歴史的名演です。この気品は比べるものなし。全体としては、濃厚なワインを召しあがれ!という感じの最高のできばえ。必見!
夕映えの輝き
「ばら」の映像を語る時(演奏そのものについても同じことが言えますが)、クライバーの旧盤との問題は避けて通れません。私はLDで両者を保有していますが、結論から言うと、どちらもそれぞれすばらしさがあると言うしかありません。
すばらしさの中味ですが、旧盤はクライバーの指揮、演出含めて若さと勢いのすばらしさでしょう。これはクライバー70年代の特徴でもあります。新盤は概してメランコリックな雰囲気が漂い、精妙かつ気品溢れる舞台です。これはクライバー90年代の特徴でもあると考えます。各種の批評、感想を聞くと旧盤を推す声がやや多い、新盤はもちろん評価は高いけれども一部評価が分かれる(旧盤のクライバーらしさを推す)ようです。
が、個人的に敢えて言うなら、私は新盤を推したい。(実演に接した感動、ひいき目もあるかもしれません。もちろん旧盤も大好きです)新盤には、夕映えの輝きがある。まさに夢見るような舞台です。(クライバーらしさが出ているのは70年代の演奏だと思いますが、ブラームスの4番と「ばら」は90年代がよいと思っています)これは「ばら」という作品を考えた時、大きな要素ではないでしょうか。来日公演、本当にすばらしかった。実演でクライバーの指揮姿に釘付けになった箇所(第2幕の最後、第3幕の中盤)が映像化されているのは納得です。
ちなみにこの一連の公演(この映像がウィーンでのプレミエ、これに来日公演が続きました)が、クライバー生涯最後のオペラ公演であり、一部の情報によれば、その最終公演を「生涯最高の出来」だったと漏らしていたそうです。
グールドの「ゴールドベルク」同様、新旧両盤でワンセットであるように思います。クライバーの来日の最初と最後を飾るものでしたし…。の現在廃盤?なので再発に期待しています。是非カーテンコールまで入れてください。
長々と書いてすみません。私たちにたくさんの感動と音楽のすばらしさを与えてくれたカルロス・クライバー氏のご冥福をお祈りします。
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