ジミ・ヘンドリックス
もし、聖人と呼ばれるのに値するアーティストがいるとすれば、ジミ・ヘンドリックスをおいてほかにはいないだろう。これは、ジョー・ボイド監督・製作による伝説のギタリストのトリビュート作品である。ジミを理解するには、誰かの語りを聞くよりコンサートの映像を見るのが一番だ。ピート・タウンゼント、エリック・クラプトン、ミック・ジャガー、ルー・リード、ジャーメイン・グリアなど、そうそうたる面々が登場し、ジミの思い出を語るのは確かに素晴らしい。しかし、それよりも、もっと雄弁に語るのがジミの演奏なのだ。「ヘイ・ジョー」を演奏したTV番組「レディ・ステディ・ゴー」の白黒映像や、モントレー・ポップ・フェスティヴァルでのクラシックな映像はもちろん、ウッドストックでの「ザ・スター・スパングルド・バーナー」や「ヒア・マイ・トレイン・ア・カミン」を12弦アコースティック・ギターで演奏したワイト島のフェスティヴァル。演奏で自身を語るミュージシャンであるジミを、これほど的確にとらえた映像集はない。
しかし、ミュージシャンとしてではなく、人間としてのジミを知るためとしては、物足りなさを覚える。例えば、ジミの死に触れる話題がほとんど含まれていないこと。当時のジミの恋人、モニカ・ダンネマンなど、ほんの数秒しか画面に登場しないのである。父親、軍隊時代での友人、昔の恋人たち(ニューヨークでジミを“発見”し、英国へ連れて行ったとされるリンダ・キースを含む)が語るジミ像は、あいまいでコメントに統一性がない。ミュージシャンたちの話ですら、音楽そのものが語る雄弁さには遠く及ばないが、“自分に刺激を与えてくれた”というリトル・リチャードのコメントが印象的ではある。(Mark Walker, Amazon.co.uk)
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