クィーン

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1997年5月、労働党のブレアが選挙で勝利をおさめ、エリザベス女王はブレア首相を承認する。同年8月、チャールズ皇太子との離婚後も国民的人気を誇っていたダイアナが、パリ滞在中、交通事故で急逝。ニュースはロイヤルファミリーにも伝わり、チャールズ皇太子は王室機でパリに飛び、ダイアナを英国に連れて帰ろうとする。離婚したとはいえ、将来、国王となる息子にとって、彼女は母親なのだ。最初は「ダイアナは民間人。国事ではない」と王室機の使用を禁じた女王も、チャールズの説得に折れた。しかし、彼女は決して、ダイアナの死について公的なコメントを出さず、これが国民の反感を買った。国民は女王は冷徹だと非難し、彼女は孤立。そんな女王を救ったのは、新首相ブレアだった。
世界的に人気があったダイアナが亡くなったときの王室の混乱、とりわけ女王の苦悩を描いて絶賛されたスティーブン・フリアーズ監督作。注目すべきはやはり、2007年の映画賞レースを席巻し、アカデミー主演女優賞を受賞したエリザベス女王を演じたヘレン・ミレンだろう。ルックスを似せただけでなく、女王の揺れる心、孤独、そして徐々にダイアナへのわだかまりを解き放っていく様を品格ある芝居で見せ、圧巻だ。宮殿内部や女王のプライベート、意外にも質素なブレア首相の生活も興味深い。またブレアを演じたマイケル・シーンの誠実な演技も好感度大だ。衣装や美術も洗練され美しく、スキャンダルを扱いながらも、英国の品を決して失うことのない人間ドラマの傑作だ。(斎藤 香)

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重層的な思惑

主演のヘレン・ミレンがアカデミー主演女優賞に輝いたこと、ダイアナ妃の事故死当時にスポットを当てた作品だということ以外は全く知らない状態で観た。まず、ヘレン・ミレンの演技は抑制が効いている。これが女王陛下たるものなのだろうか?彼女は自分の感情よりも、まず優先すべきは英国民であるという徹底した帝王学を叩き込まれ、その通りに君臨してきたのだ。
ダイアナ妃は、たぶん受け入れがたい人物だったろう。
ダイアナ妃が自らの摂食障害についてスピーチするのをテレビで観たことがあるが、このような公人がカミング・アウトする勇気に感じ入るとともに、スピーチが終わったあとの彼女の表情が「私、とうとうやったわ!」といったもので、まるで学校の先生か父親にでも褒められたい少女のような幼さを見た。
そんな幼さとエリザベス女王の折り合いが上手くいかないのは容易に想像できる。
ダイアナは直感によって行動したのだろう。
それが、不倫であれ、地雷撤去運動であれ。
彼女のような人は、王室にはいなかった。それ故、女王陛下をはじめとする旧勢力は揺れた。
また、愚かしいかもしれないが、それ故国民の人気を得たダイアナ妃には「華」があった。
それは、彼女の葬儀に列席したポップ・スターと似たものだった。彼女に生来備わったものだ。
そんな描かれてない面にかえって思いを馳せてしまう重層的な作りになっていると思う。

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生きていても死んでいてもやっかいな女

エリザベス女王をはじめブレア首相のそっくりさんまで登場させ、ダイアナ事故死騒動を再現した、まさしく<いつ見ても波瀾万丈─英国王室編>だ。英国王室の血塗られた歴史を思い返すと、人為的な事故死説もあながち妄想ではない気もするが、「生きていても死んでいてもやっかいな女」(エジンバラ公)「英国王室に後ろ足で砂をかけた女」(ブレア首相)などのダイアナに関する問題発言が次々と飛び出すおかげで、どちらの立場にたっているかが明示されている映画でもある。

王室私有の狩猟場で出くわす大鹿を見て女王が涙を流すシーンがある。ハンターの餌食にならないよう「お逃げ」とやさしく諭すクイーン。しかし結局は王室私有地以外の場所で射殺されあわれ首チョンパ姿になってしまう。見ようによっては(大鹿をダイアナのメタファーと考えるならば)非常にブラックなシーンであり、アングロ・サクソンの背筋も凍る冷酷さを感じる場面でもある。

映画は、ダイアナの死を王室扱いとするかしないかで、ブレア政府と英国王室が大いにもめるストーリーで、王室の体裁さえ保たれれば<ダイアナの死>など本心ではどうでもいいと思っている監督(かなり王室と親しい間柄らしい)の意図が感じられる。チャールズと別れてからあれほど派手な行動をダイアナがとったのも、マスコミの力を利用して自らの身を守ろうとしたからかもしれないが、真相は既に闇の中である。

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ノンフィクション風の政治的フィクション

この作品を観終わってまず感じたのは、「ネタ元は何か」ということ。この作品では、
ダイアナ元皇太子妃の事故死以降、国葬に至るまでの、エリザベス女王を含む英国王室
やブレア首相の行動がノン・フィクション仕立てで詳細に描かれている。しかしながら、
そんなトップ・シークレットかつプライベートな事柄が、映画の脚本にできるほどに
こと細かに外部に漏れ出してくるはずは無く、そうすると、この作品は「史実風の
フィクション」ということになる。

フィクションとして観ると、その主旨は単純。要するに、「女王は、(多少感性は古い
かも知れないが)英国国民の利益を第一義におく、人間味もある名君である」ことを
描きたかったということになる。

王室が多額の税金を消費していること、国民から(君主制を含めて)反感を買っている
こと等、ネガティブな側面についても散りばめていることで公平性を保っているように
見えるが、労働党出身で、本来的には君主制に反対する立場たるブレア首相が女王の
熱烈なファンになり、世論に反して擁護したことや(=典型的ポピュリスト政治家として
にわかに信じがたい行動である)、他国の紛争が女王の一存で解決に向かったことに
触れて作品を締めくくるなど、英国王室、君主制の擁護ぶりはなかなかのもの。

思わず、「王室や、保守党を中心とする君主制擁護派が作品のバックに付いている
のかな」と憶測を立ててしまった。

ともあれ、俳優陣の確かな演技(=特に、女王役のヘレン・ミレンの、実際の女王
との酷似ぶりには驚いた)、相当に地味なのだが不思議と観客を飽きさせない巧妙な
脚本・編集と、そういった思想的な背景を除いても、作品としてのクオリティは
相当に高い。是非、一興までにご覧になってはいかがでしょうか。



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エリザベス女王が好きになりました

この映画は観たあと、どう整理をつけるか人によってだいぶ違うと思う。
王室の冷たさが分かるし、身分でヒトをランク付ける資質も思いっきり出ている。

ただ、エリザベス女王が若くして即位し、昔ながらの教育を受けてきて、誰も現代社会に準じた助言をしてあげない事実も明らかになり、前述の嫌な資質は仕方ないとまで思える。

ダイアナ妃をずっと悲劇のヒロインだと思っていた私には、この映画で(作られたものでも)なんとなく、他にも悲劇のヒロインがいたんだなあと改めて考えた。
いつでも、人前では動じず、冷静を保ち、威厳を保つ。それが国民のために生きると誓った女王の務めだと彼女は映画の中でいいます。
なんだか本当にかわいそうになってしまいました。

いずれにしても、この映画では女王の強さと、孤独が伝わり、なんだか悲しみがあふれてきました。

ダイアナファンには是非見ていただきたい、そして影でつらい想いをしていた人がここにもいたと知ってほしいです。

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自由の国だ

ダイアナ元王妃の死にまつわる王室の苦悩を描いています。
どちらがどうだったか、偏らない視点で描いた作品だったので
恐らく試写した王室の方々も一方的に責められた気持ちには
ならなかったのでは。。
ただ、エンディングは「あ、これで終わりなんだ」という
ちょっとあっけない感じはしました。
作品の性質上、仕方ないのかもしれませんが。

それにしても
現在生きている女王の話をこれだけ生々しく描ける自由はすばらしい。
日本にはないものですね。
それに、ヘレン=ミレンの女王らしさといったら驚きです。
気品や威厳がある女優でなければ演じられないでしょう。
当時の首相を演じたマイケル=シーンもすごい。
キャスティングが見事です。

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