野菊の墓
地方の名家に生まれた政夫(桑原正)は、貧しい従姉妹の民子(松田聖子)と相思相愛の仲になる。しかし世間の目を気にした大人たちはふたりの仲を引き裂くべく、無理やり民子を別の男性に嫁がせ、やがて彼女は帰らぬ人となる……。
伊藤左千夫の名作文学三度目の映画化。そもそもは松田聖子初主演のアイドル映画として企画されたものだが、同じくこれが監督デビュー作となった澤井信一郎監督の初々しくも繊細で落ち着きのある名演出によって、日本映画ならではの叙情あふれる名編の誕生となった。それまでどちらかというと蔑視的に捉えられていたアイドル映画だが、本作を含めた80年代初頭の優れた作品群の台頭によって、やがて日本映画の一ジャンルとして屹立していくことにもなっていく。澤井監督もまたその旗手としてその後も数々の名作を手がけていくのだ。(増當竜也)
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