南の虹のルーシー(10)
イギリスからオーストラリアへ、自分たちの農場を持つことを夢見て移民したホップル一家。苦難を乗り越えていく家族の姿を、その三女ルーシーメイを中心に描いた、1982年放送、8本目の「世界名作劇場」。フィリス・ピディングトン原作『南の虹』をアニメ化したものだ。
この前年に放送された「ふしぎの島のフローネ」に引き続き、家族をテーマに描かれた作品(子どもの頃は「フローネの遭難しなかったバージョン」だと勝手に思ってたっけ…)。しかし、こちらの一家が直面する悩みはお金のことや仕事のことなどずいぶん現実的。一家の主も、かなり頼れたフローネのお父さんに比べると、ルーシーのお父さんは落ち込んで酒におぼれたりと、ずいぶん人間くさい。しかしそんな悲惨な状況の中で、助け合いながら強く生きていく人々を描くことこそ、「名作」シリーズの真骨頂。淡々とした描写を見ているうちにいつの間にか、一家に起こることに一喜一憂させられてしまう。ルーシーが事故に遭って記憶喪失になることから始まる終盤の展開は、ほどよいケレンとなっている。
ルーシーとその姉ケイトの無邪気な存在感や、動物好きのルーシーが飼う動物たちの自然な可愛らしさが、硬派なお話にほっとする雰囲気をもたらしているのもいい。いろいろな意味でバランスの良い佳作である。(安川正吾)
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